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【簿記1級】固定資産の取得・減価償却・処分(定率法の切替と期中計算)

固定資産の問題は、取得原価、減価償却、売却損益を別々に覚えるより、取得から処分までの残高の流れで考えると整理しやすくなります。

学習メモで繰り返し注意しているのは、「期中売却までの償却を忘れない」「定率法の切替年度をずらさない」「決算整理前T/Bの累計額に当期分が含まれているか確認する」の3点です。図や手書き計算を文字の時系列と表に置き換え、独自の例でまとめます。

0.最初に、取得原価・累計額・帳簿価額を分ける

取得原価 − 減価償却累計額 = 帳簿価額

例:備品の取得原価 600,000円
    減価償却累計額 240,000円
    帳簿価額       360,000円

間接法の残高試算表なら、備品勘定の600,000円は取得原価です。そこに償却率を掛けるのか、累計額を引いた360,000円に掛けるのかは、償却方法によって変わります。

また、決算整理前T/Bの累計額を「必ず前期末残高」と決めつけないこと。期中の売却や毎月の償却が処理されている場合もあります。以下の逆算例では、当期の償却が未処理という条件を明記します。

1.取得原価には、使える状態にするための付随費用を加える

機械を購入した場合は、購入代価に引取運賃・据付費などの付随費用を加えて取得原価を求めます。ここでは消費税と借入利息を考慮せず、次の支出を全額普通預金から支払った例とします。

機械の購入代価     1,200,000円
引取運賃              50,000円
据付費                30,000円
取得原価           1,280,000円

(借)機械装置 1,280,000 /(貸)普通預金 1,280,000

使用開始後の通常の維持管理費20,000円は、別の修繕費として処理する条件です。購入に関係して支払ったお金を、理由なくすべて機械の取得原価にまとめないようにします。

1-1.資本的支出と収益的支出は、支出の効果を確認する

通常の維持管理や原状回復の支出は修繕費、価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする部分は資本的支出として整理します。税務にも同様の区分があり、国税庁「修繕費とならないものの判定」で確認できます。ただし、税務上の少額基準等を、簿記の問題へ無条件に持ち込まないことが大切です。

メモの教材には、延長年数で按分する例があります。これは支出の内訳が不明で、問題が年数按分を指示する場合の計算として扱います。すべての改修費を機械的に年数で分ける一般ルールではありません。

条件:改修直前の残存耐用年数3年、改修で2年延長
      支出90,000円を、問題の指示により年数比で按分する

資本的支出:90,000 × 2/(3+2)=36,000円
修繕費    :90,000 − 36,000 =54,000円

(借)建物    36,000
      修繕費  54,000 /(貸)普通預金 90,000

改修直前の帳簿価額が210,000円、残存価額ゼロ、改修後5年間の定額法と指定され、期首に改修したなら、当期償却は(210,000+36,000)÷5=49,200円です。残存耐用年数の見積りが変わっても、以前の償却をさかのぼってやり直す計算とは区別します。

2.定額法・定率法・生産高比例法の計算基礎を区別する

方法 基本的な計算 確認する条件
定額法 (取得原価−残存価額)÷耐用年数 使用期間、残存価額、指定償却率の有無
定率法 期首未償却残高×償却率 保証額、切替済みか、残存価額までの上限
生産高比例法 (取得原価−残存価額)×当期利用量÷見積総利用量 実際の利用量、見積総利用量

定額法でも、問題が償却率を指定していれば、その率を優先します。「1÷年数」と、端数を含む指定償却率が完全に一致するとは限りません。

2-1.期中取得は、使用開始からの期間を数える

先ほどの機械1,280,000円を7月1日に取得して同日から使い、3月決算、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法・月割計算とします。

年額:1,280,000 ÷ 8 =160,000円
当期:160,000 × 9/12 =120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)機械装置減価償却累計額 120,000

期末帳簿価額:1,280,000 − 120,000 =1,160,000円

購入日と使用開始日が違う問題では、その違いも拾います。月数の数え方や端数の処理は、問題の指定に従います。

2-2.生産高比例法には、さらに月割りを掛けない

車両の取得原価900,000円、残存価額100,000円、見積総走行距離80,000km、当期走行距離6,000kmなら、減価償却費は800,000×6,000÷80,000=60,000円です。

期中に取得しても、当期の実際の走行距離6,000kmにすでに使用実績が反映されています。ここへもう一度「6か月だから6/12」を掛けると、償却額を過少にしてしまいます。

3.200%定率法は、保証額を下回った年度から切り替える

計算を二段階に分けます。保証額は毎年、期首簿価に掛けて作り直す金額ではありません。当初の取得原価に保証率を掛けた金額です。

① 通常の償却額候補=期首未償却残高×償却率
② 償却保証額      =取得原価×保証率

① ≧ ②:通常の償却額を使う
① < ②:その年度から改定取得価額×改定償却率へ切替

改定取得価額=最初に①<②となった年度の期首未償却残高

保証額を下回った次の年度から切り替えるのではありません。また、保証額そのものを償却費にするのでもありません。この比較と改定取得価額の定義は、国税庁「減価償却資産の償却限度額の計算方法」でも確認できます。税法上の償却限度額と会計の償却費は区別し、以下では試験の指定条件で計算します。

3-1.切替までと切替後を一つの表にする

取得原価512,000円、期首取得、耐用年数8年、償却率0.250、保証率0.07909、改定償却率0.334とします。問題の指定として、円未満は四捨五入、残存価額ゼロ、最終年度はゼロまで償却する条件です。

償却保証額:512,000 × 0.07909 =40,494.08円
指定の端数処理後:40,494円
年度 期首簿価 通常額の候補 実際の償却費 期末簿価
1年目 512,000 128,000 128,000 384,000
2年目 384,000 96,000 96,000 288,000
3年目 288,000 72,000 72,000 216,000
4年目 216,000 54,000 54,000 162,000
5年目 162,000 40,500 40,500 121,500
6年目 121,500 30,375<保証額 40,581(切替) 80,919
7年目 80,919 切替済み 40,581 40,338
8年目 40,338 切替済み 40,338(残額) 0

6年目で30,375<40,494となるため、その年の期首121,500円が改定取得価額です。改定償却額は121,500×0.334=40,581円。7年目も、減った簿価80,919円ではなく、固定した改定取得価額121,500円に0.334を掛けます。

8年目は残額40,338円までとし、通常の40,581円をそのまま引いてマイナスにしません。税法の備忘価額1円を残す条件なら、最終額はこの例と異なります。

すでに切替済みの資産が総合問題に出たら、切替年度まで戻って改定取得価額を確認します。この例で7年目の期首累計額が431,081円なら、512,000−431,081=80,919円となり、表と一致します。

4.期中売却は、売却日まで償却してから帳簿を消す

取得原価600,000円、耐用年数5年、残存価額ゼロの定額法の車両を考えます。4月1日の期首累計額は240,000円。9月30日に340,000円で売却し、当期分は未処理、4〜9月の6か月分を償却する条件です。

期首簿価:600,000 − 240,000 =360,000円
売却までの償却:(600,000÷5)×6/12 =60,000円
売却時の累計額:240,000 + 60,000 =300,000円
売却時の簿価:600,000 − 300,000 =300,000円
売却益:340,000 − 300,000 =40,000円

① 売却までの償却
(借)減価償却費 60,000 /(貸)車両減価償却累計額 60,000

② 売却
(借)普通預金            340,000
      車両減価償却累計額  300,000
    /(貸)車両運搬具    600,000
          固定資産売却益   40,000

期首簿価360,000円と売価340,000円だけを比べると、20,000円の売却損にしてしまいます。先に当期の償却をするだけで、損益の向きが変わる例です。

4-1.下取りは、古い資産の処分と新しい資産の取得を分ける

上の車両を同額340,000円で下取りし、新車の現金購入価額が900,000円、差額560,000円を預金で支払う条件に変えます。下取額が適正な処分対価として与えられ、付随費用・利息・消費税はないものとします。

(借)車両運搬具(新車)  900,000
      車両減価償却累計額  300,000
    /(貸)車両運搬具(旧車) 600,000
          普通預金             560,000
          固定資産売却益        40,000

新車の取得原価は900,000円です。現金支払額560,000円だけでも、旧車簿価300,000円を足した860,000円だけでもありません。メモの「売却益も含める」は、560,000+300,000+40,000=900,000という残高のつながりとして理解します。すでに新車価格が分かっているのに、そこへ売却益を追加して940,000円にしてはいけません。

割賦の下取りでは、手形総額に含まれる利息をさらに区別する必要があります。新資産の現金購入価額と、支払総額を同じ金額と決めないようにします。

5.累計額から取得原価を逆算するときは、償却済みの月数を使う

建物の取得原価が不明、耐用年数10年、残存価額ゼロ、定額法とします。当期の償却は未処理で、T/Bの累計額72,000円が前期末までの36か月分を表すと指定されている例です。

取得原価をX円とする
X × 36/120 =72,000
X =72,000 ×120/36 =240,000円

当期12か月の償却:240,000÷10 =24,000円
期末累計額:72,000 +24,000 =96,000円
期末帳簿価額:240,000 −96,000 =144,000円

T/Bの表題が当期末の日付でも、未処理の当期12か月を、逆算の36か月へ追加しません。累計額がいつまでの処理を表しているかを、取得日と処理状況から確認します。

5-1.端数処理の指定があれば、期間をまとめて計算しない

取得原価50,003円、残存価額ゼロ、耐用年数3年の定額法で、年額を四捨五入してから月割りする指定があるとします。1年と6か月の償却後の簿価は、次のようになります。

年額:50,003÷3 =16,667.666… →16,668円
半年:16,668×6/12 =8,334円
1年半の償却:16,668+8,334 =25,002円
帳簿価額:50,003−25,002 =25,001円

残存期間比で50,003×1.5/3を計算し、最後だけ四捨五入すると25,002円になり、1円ずれます。電卓の計算順序だけでなく、どの段階で端数処理する条件かを確認することが重要です。

6.最後は固定資産と累計額のBOXで確認する

【取得原価の残高】
期首取得原価 + 当期取得・資本的支出 − 処分資産の取得原価
=期末取得原価

【減価償却累計額の残高】
期首累計額 + 当期減価償却 − 処分資産に対応する累計額
=期末累計額

期末取得原価 − 期末累計額 =期末帳簿価額
  • 取得原価に必要な付随費用を含め、修繕費や利息と分けたか。
  • 指定された償却方法・残存価額・端数処理を使ったか。
  • 期中取得・売却の使用月数を数えたか。
  • 定率法の保証額を当初取得原価から計算したか。
  • 切替年度と、固定する改定取得価額を確認したか。
  • 処分時に取得原価と累計額の両方を消したか。
  • 累計額の逆算に、未処理の当期分を混ぜていないか。

P/Lの減価償却費合計は複数資産の計算が必要でも、資産別の累計額や簿価は一つずつ確定できます。まず各資産の残高を合わせ、その後に費用を合計すると、総合問題でも確認しやすくなります。

2022年度の出題区分を土台にした学習メモです。税法資料は定率法の計算構造などの確認に用いています。会計上の償却費と税務上の償却限度額は同一とは限りません。各例の残存価額・端数処理・期間は、説明用に指定しています。

動画でも確認したい方は、固定資産の取得・減価償却・処分の解説動画をご覧ください。

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