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【簿記1級】電卓の使い方と端数処理のコツ(GT・メモリー・現在価値)

この記事は、簿記1級で使う電卓操作を「集計」「現在価値」「端数処理」に分けて整理したものです。減損会計、貸倒引当金、設備投資の意思決定など、割引計算が出てくる問題で使えます。

自分の学習メモには、「GTを押し忘れない」「イコールの回数を確認する」「BOX図への転記を慎重に」という注意が残っていました。操作を速くする前に、今の表示が何年目の金額で、どこに合計が保存されているかを確認するのが大事です。

キーの名称や定数計算の操作は、メーカー・機種によって異なります。以下では共通する計算の考え方と、元メモにある操作例を分けて説明します。実際の機種では、取扱説明書と小さな確認計算で動作を確かめてください。

0. 計算する前に、タイムテーブルを作る

割引計算は、金額だけでなく受け取る時点が必要です。毎年同額なのか、最終年だけ元金回収や売却収入が加わるのかを先に整理します。

例:割引率10%、各年末に受け取る場合
現在(0年):評価する時点
1年末   :1,000円
2年末   :1,000円
3年末   :2,000円

現在価値
=1,000÷1.1
 +1,000÷1.1÷1.1
 +2,000÷1.1÷1.1÷1.1

期首払い・期末払いでは割引回数が変わります。「3回の支払いだから全部3回割る」とは考えず、各支払時点までの期間を見ます。また、割引率が年率なら、年の区切りと計算期間を合わせます。

1. GTとM+・M-は、別の集計場所として使う

GT:計算結果の総計を呼び出す

GTはグランドトータルのことです。対応する機種・設定では、[=]で確定した計算結果がGTメモリーに累計されます。例えば、別々に計算した材料費・労務費・経費の結果をまとめる場面で使えます。

便利ですが、前に行った計算結果が残っていると、その数字も合計に混ざります。GTを使う一まとまりの計算を始める前に、GTメモリーをクリアします。

通常のメモリー:自分で足す・引くを指定する

  • M+:入力した数値や計算結果を、通常のメモリーに加える。
  • M-:入力した数値や計算結果を、通常のメモリーから引く。
  • MR・RM:通常のメモリーの内容を呼び出す。
  • MC・CM:通常のメモリーの内容を消す。

呼出しと消去が一つになった[R・CM]などのキーもあります。押す回数で動作が変わる機種では、呼び出した直後に消してしまわないようにします。

GTは自動で累計される結果、M+・M-は自分で保存を指定する結果、と役割を分けると扱いやすくなります。GTと通常のメモリーは同じ合計ではありません。参考:シャープ公式「電卓のキーの使い方」。

小計をGTで作り、通常のメモリーへ移す

元メモの減損会計では、毎年のキャッシュフローの現在価値合計をGTで求め、土地の処分価値の現在価値と、通常のメモリーで合算していました。

① 通常のメモリーをクリア
② GTをクリア
③ 毎年のCFを割り引き、GTで小計を呼び出す
④ その小計をM+で保存
⑤ GTをクリアし、最終年の追加CFを割り引く
⑥ 最終年の金額だけをM+で保存
⑦ MR等で合計を呼び出す

⑤で通常のメモリーまで消すと、④で保存した小計がなくなります。反対に、⑥で最終年の追加CFを何度も割り引いた途中結果までGTで合計すると、受け取らない年の金額も混ざります。どのメモリーを消し、どの結果を保存するかを区別します。

2. 現在価値:同じ係数で割る回数を数える

年率10%で、3年後に1,000円を受け取る場合の現在価値は、次のとおりです。

現在価値=1,000÷(1.1の3乗)
    =1,000÷1.1÷1.1÷1.1
    =751.314800…円

1回割った結果:909.090909…円 → 1年後の割引
2回割った結果:826.446280…円 → 2年後の割引
3回割った結果:751.314800…円 → 3年後の割引

割引率10%の例では、割る数は0.1ではなく1.1です。将来の同じ金額を遠い時点から割り引くほど、現在価値は小さくなります。これは入力ミスを見つける目安にもなります。

定数計算を使う場合の操作例

元メモの画像では、次の2種類の操作が紹介されていました。どちらも、同じ数で繰り返し割る定数計算です。すべての機種でこの操作になるわけではありません。

シャープ等の一部機種の操作例
[1000][÷][1.1][=][=][=]

カシオの一部機種の操作例
[1.1][÷][÷][1000][=][=][=]

目標の表示:751.314800…

例えば、シャープEL-N942/EL-N942Cの定数除算では、除数が定数になります。カシオの上の例は[÷]を2回押して定数を設定するタイプです。最初の[=]で1年分、2回目で2年分、3回目で3年分となる動作か、先ほどの909.09…、826.44…、751.31…で確認します。

参考:シャープEL-N942/EL-N942C取扱説明書、カシオ電卓入門ガイド。操作を覚えるときも、数式と表示結果を一緒に確認しておくと、機種が変わったときに対応しやすくなります。

3. 年金現価:毎年分を合計する

年率10%、3年間、各年末に1,000円ずつ受け取る例で考えます。最後の3年目の現在価値だけではなく、1年目・2年目・3年目の現在価値の合計を求めます。

1年目:1,000÷1.1   =909.090909…
2年目:1,000÷1.1の2乗 =826.446280…
3年目:1,000÷1.1の3乗 =751.314800…

合計:2,486.851990…円
円未満四捨五入の指定なら:2,487円

GTが各[=]の結果を累計する機種なら、GTをクリアしてから、1,000円を1.1で3回割り、[GT]で合計を呼び出す方法が使えます。3回目の表示751.31…と、GTの表示2,486.85…を取り違えないようにします。

GTを使わない場合は、各年の現在価値を個別に求めてM+で保存します。後の年の計算で使う割引回数を、タイムテーブルに書いておくと安全です。

最終年だけ金額が違う場合

冒頭の例のように、1・2年目は1,000円、3年目だけ2,000円なら、次の二つに分けて計算できます。

1・2年目の合計
=1,000÷1.1+1,000÷1.1の2乗
=1,735.537190…円

3年目の金額
=2,000÷1.1の3乗
=1,502.629601…円

現在価値合計=3,238.166791…円

1・2年目の小計をGTからM+に移し、3年目は最終結果だけをM+に加えると整理できます。GTのリセット方法は機種ごとに確認します。

もう一つの方法は、3年間の1,000円の年金現価に、3年目の追加1,000円の現在価値を足すことです。全額を年金として扱うのか、最終年の追加分として扱うのかがはっきりしていれば、どちらでも同じ答えになります。

4. 端数処理は、問題が指定する段階で行う

現在価値は小数が長く続きます。先ほどの各年の値を円単位に丸めてから合計すると、909+826+751=2,486円となり、合計してから四捨五入した2,487円と1円ずれます。

「最後に円未満四捨五入」なら、途中結果を丸めて次の計算に使わないようにします。GTや通常のメモリーを使い、電卓の計算精度の範囲で数値を保持します。

小数点以下の桁数指定スイッチや丸め設定によって、途中の計算結果が処理される機種があります。設定も取扱説明書で確認します。一方、問題で「各年の現在価値を四捨五入して合計」と指定されていれば、各年での処理が必要です。年金現価係数表などが指定されている問題では、その係数と精度を使います。

また、千円単位への換算と、整数に丸める作業は別です。12,345,600円は12,345.6千円であり、小数を残すかどうかは解答条件によります。

5. 転記前のチェックリスト

  • □ キャッシュフローは年末か、年初か。割引回数は合っているか。
  • □ 年ごとの金額は同じか。最終年の元金回収などを加えたか。
  • □ GTと通常のメモリーに、前の計算が残っていないか。
  • □ 呼び出したのは単年の現在価値か、複数年の合計か。
  • □ 小計をGTからM+に保存する操作を忘れていないか。
  • □ 不要な中間結果をGTで合計していないか。
  • □ 端数処理の段階と、円・千円の単位は指定どおりか。
  • □ 表示結果と下書き、解答欄の数字が一致しているか。

電卓操作を練習するときは、まず小さな例で計算式・各[=]の表示・GT・通常のメモリーを対応させます。そのうえで、「期間を書く→計算する→表示の意味を確認する→転記する」の順番を固定すると、割引計算の見直しがしやすくなります。

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